東京都小平市にある「平安院」は、280年以上の歴史を持つ禅宗寺院です。臨済宗 円覚寺派に属する同寺は、長年にわたって地域に根ざし、人々の心の拠り所として親しまれてきました。
近年では伝統的な法要や供養に加えて、ヨガ教室や写経会、さらには結婚相談所の運営など、時代に即した新たな試みにも積極的に取り組んでいます。
今回は平安院の歴史や活動、そしてこれからの展望について、住職にお話をお伺いしました。
平安院の歴史と臨済宗 円覚寺派の教義
平安院が属する臨済宗 円覚寺派は、鎌倉時代に元寇(蒙古襲来)で命を落としたすべての人々を敵味方の区別なく弔うために設立された宗派です。
禅の修行を重視し、特に「公案問答」と呼ばれる師弟間の問答を通じて深い気づきを得ることが特徴です。
平安院は、江戸時代中期に小川村(現在の小平市)が開墾された際、先祖供養と心のよりどころとしてこの地に建立されました。入植した農民たちの間で、先祖を敬う心が受け継がれ、それが現在まで続いていると言います。
地域に根差した法要と祈願
平安院では、葬儀や年忌法要といった伝統的な行事に加えて、時代のニーズに合わせた供養も行っています。ペット供養や事故物件での読経など、さまざまな背景を持つ方々に寄り添う姿勢が伺えます。
また、「厄年供養」「合格祈願」「就職祈願」「七五三」など、人生の節目に応じたご祈願のご要望も多く寄せられています。
さらに、結婚相談所を併設していることから、「良縁祈願」も行っており、人生のご縁を結ぶ場としての役割も担っているんです。
ヨガや写経など、“心と体”のリフレッシュを支援
近年、平安院では心身の健康を整える取り組みにも力を入れています。
たとえば「ヨガ教室」では、外部から女性インストラクターを招き、女性限定で実施していたり、同時に「写経・写仏会」や「坐禅会」では、男女問わず参加できるとのことです。
「ご自宅でも一人で実践できるための指導会と言う点が特徴です」と住職は話します。
説明やストレッチ、短時間の実践、そして質疑応答を含めて10〜15分ほどのプログラムとなっており、出勤前やお仕事帰りでも無理なく参加できる工夫がなされています。
こうした取り組みは公式サイトなどを通じて広まり、実際に参加者や問い合わせが増えているとのことです。
結婚相談所「マリアージュ平安」の背景にある想い
平安院では「マリアージュ平安」という結婚相談所を運営しています。実は住職と寺庭(奥様)も、離婚を経験し、この相談所を通じて再婚されたそうです。
「檀家の方々から『うちの息子が…』や『娘に良いご縁はないですか?』といったご相談をいただくことがありました。お寺はご縁を結ぶ場としても適していると感じ、開設に至りました」と、住職は語ります。
お寺だからこそ生まれる信頼関係と、経験に基づいたきめ細やかなサポートが、多くの方々の新たな一歩を支えています。
地域への想いと、今後の構想
小平市について、「神事や祭事を通じた地域住民の結束が強く、神社仏閣を大切にする心がしっかりと根付いていると感じます」と住職は話します。
この地域の特性を生かしながら、平安院は今後も“開かれたお寺”を目指して活動を広げていく予定です。現在構想中の取り組みとしては、「坊主バー」「寺カフェ」「精進料理教室」「寺子屋」「本堂でのコンサート」など、より身近にお寺を感じていただける多彩な企画が挙げられています。
訪れるすべての方へ――心のチャージを
最後に、訪れる方や地域に関心のある方へのメッセージを伺いました。
「まず、【お寺】への固定観念を取り払ってください。「敷居が高そう…」「喝を入れられそう…」「お仏壇の匂いがする…」などと思わず、舞浜のとあるアトラクションに訪れるような気持ちでお越しください!
日々お疲れの皆様へ。
モバイルバッテリーではありませんが、ぜひお寺で【心のチャージ】をしてみませんか?また充電が切れたときは、いつでもお立ち寄りください。
どうせ一度きりの人生です。少しでも《ホッと》できる時間、《笑顔のひととき》が長い方がお得ですよ!
合掌」
お寺というと、固く敷居の高さを感じる方が多いかと思います。平安院ではお寺に行くのが初めての方でも挑戦しやすいような工夫が施されていることがわかりました。
これを機に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
基本情報
施設名 | 臨済宗 円覚寺派 平安院 |
公式サイトURL | https://www.heianin.com/ |
住所 | 東京都小平市仲町676 |
営業時間 | 9時~17時 |
定休日 | 不定休 |