富山市八尾町で百年以上の歴史を紡ぐ「林盛堂本店」。看板商品「おわら玉天」は、卵と寒天が織りなすやさしい味わいで、地元の人々はもちろん観光客にも愛されています。
伝統の技を受け継ぎながら、時代に合わせた工夫を重ねるその姿勢は、町の文化と共に歩む老舗ならでは。今回はそんな林盛堂本店の魅力に迫っていきます!
養蚕業の町から始まった菓子づくり

富山市中心部から車で約30分、のどかな田園風景が広がる八尾町に、明治初期に創業した林盛堂本店があります。創業の背景には、かつて八尾が養蚕業で栄えた土地であったことがあり、初代は養蚕で得た利益をもとに「ささや」という名で和菓子店を開業しました。
その後、「おわら玉天」を看板商品として代々受け継いでおり、八尾にて100年以上続くお店となっています。
看板菓子「おわら玉天」の由来と特徴

看板商品である「おわら玉天」は、卵と寒天を主原料にしたシンプルな和菓子です。卵白を泡立て寒天で固め、黄身を表面に塗って焼き上げる製法により、ふんわりとした食感と卵の香ばしさが特徴です。名前は、八尾の伝統行事「おわら風の盆」と材料である“玉(卵)”と“天(寒天)”に由来しています。
「おわら玉天は卵と寒天を使った素朴な味。二代目が考案して以来、代々守り続けてきました。」と語ってくださったように、看板商品として今後もより多くの方に広まっていくことでしょう。
守るだけでなく“変化”を取り入れる姿勢

長い歴史の中で同社は、伝統のレシピを尊重しつつも時代に応じた変化を受け入れてきました。
砂糖の分量や卵白の泡立て具合は季節や嗜好に合わせて調整されており、新しい製菓技術や機械の導入にも前向きとのこと。手仕事の技を守りつつ効率化を図ることで、安定した品質と生産性の両立を目指しています。
三代・四代にわたる“経験の継承”
素材がシンプルだからこそ、職人の経験が味を決めるのも大事なポイント。卵白の泡立て具合、蜜の濃度、焼き加減といった繊細なポイントは、文字だけでは伝わらず、長年の実践を通じて少しずつ継承されていきます。
「継承には時間がかかるが、そこに職人仕事の深みがある」というように、経験を活かして新たな技術発展も見据えているとのことです。
オンライン展開と実店舗、それぞれの魅力

林盛堂本店はコロナ禍を契機にオンライン販売を強化し、自社サイトやECモールを通じて全国へ商品を配送する体制を整えました。遠方の顧客や贈答需要の増加が見られ、リピーターも増えています。
一方で、店頭販売ではお客様と直接対話できる利点があり、観光客が八尾を訪れた際には“焼きたて”を提供できる場合もあるとのこと。
オンラインと対面、それぞれまた違った魅力があり、遠方の方でも気軽に林盛堂本店の味を楽しめることも人気の理由の一つです。
地域とともに歩み続ける

八尾町は「おわら風の盆」で有名な観光地です。訪問の際は、資料館や踊りの雰囲気を楽しんだ後、林盛堂本店で一息つくことをおすすめします。来店時間によっては焼きたてを味わえることもあるので、来店前に連絡してみると良いでしょう。
おわら玉天は卵の風味がしっかりしているので、コーヒーとの組み合わせがおすすめなんだとか。
そして林盛堂本店は、石挽き小豆粉を用いた商品や富山産えごまを使った菓子など、地元素材を積極的に取り入れています。素朴な風味を生かした菓子づくりは、地域文化と結びついた“食の体験”を提供しています。
さいごに
地域の文化と共に育まれてきた林盛堂本店は、四代にわたり伝統を守りながらも変化を続けています。今後も地元とともに歩み続け、八尾の訪問客や観光客にとって欠かせない存在であり続けることを目指しています。
富山県を訪れた際にはぜひ足を運んでみてくださいね。
施設名 | 有限会社 林盛堂本店 |
公式サイト | https://r.goope.jp/rinseidou/ |
住所 | 富山県富山市八尾町福島3‐8 |
営業時間 | 9時~18時 |
定休日 | 水曜 |