銀座で受け継がれる“心を込めて手を抜かない”味──MATSUZAKI SHOTENがつないできた200年の歴史と、新たな挑戦

東京・銀座の東側、木挽町通りに佇む「MATSUZAKI SHOTEN(銀座 松﨑煎餅 本店)」。創業はなんと文化元年(1804年)。瓦せんべいを中心に味を守り続けてきた老舗です。

今回は、歴史ある同店がどのように伝統を受け継ぎ、そして現代に向けた新しい価値を生み出しているのかについて伺いました。

創業200年の味を支える「1枚1枚、心を込めて手を抜くな」

松﨑煎餅の歴史は、芝魚籃坂から始まり、その後1865年に現在の銀座へ店舗を移しました。当時扱っていたのは瓦せんべいと饅頭。やがて現在のような草加せんべい・あられ・おかきを手がけるようになりましたが、三度の大火(明治の大火、関東大震災、戦災)によって記録は消失しているそうです。

そんな長い歴史を支えてきたのが、「1枚1枚心を込めて手を抜くな」という創業時からの教えです。

絵付けを行う瓦せんべいは、表面が美しく焼き上がらなければ成り立ちません。そのため、職人が日々焼き具合を調整し、気温や湿度に合わせて種を微調整するなど、見えない努力が積み重ねられています。

瓦せんべい・草加せんべい・あられ──多彩な商品が人気の理由

店内には、和菓子店では珍しいほど多彩な煎餅が並びます。

代表商品の瓦せんべい「大江戸松﨑 三味胴」は、小麦粉・卵・砂糖で作る素朴で優しい甘さが特徴。その名は三味線の胴に形が似ていることに由来します。

草加煎餅「江戸草加 本丸」は国産一等米を使用した香り高い一枚で、手土産としても人気です。さらに、進物用として根強い人気のあるあられや、もち米100%・無添加無着色にこだわった「松﨑さんちの柿の種」など、幅広い商品を取り揃えています。

国内のお客様はもちろん、外国人旅行者からも多くの支持を集めています。

絵柄を現代に──オリジナル三味胴に込めた想い

同店の象徴ともいえるのが、社章やロゴを入れられる「オリジナル三味胴」。もともとは五代目が和菓子の技法を取り入れ、茶色い煎餅に彩りを添えたのが始まりです。

現在の八代目が入社した当時、瓦せんべいは売上全体の数%しか占めていませんでした。しかし、絵柄の現代化やブランドとのコラボレーション、オーダーメイドの受付強化などによって、再び看板商品として注目されるようになりました。

イベントのノベルティや学校行事の記念品として利用されることも多いそうですよ!

そして、2019年にパッケージを刷新。包装紙には「1枚1枚心をこめて」というメッセージを文様化した柄があしらわれ、さりげなくキャラクターの男性が忍ばせてあります。

伝統的な和の意匠に寄りすぎず、「お客様にとって心地の良いデザイン」であることを大切にしているといいます。

贈り物として選ばれる理由とは

ギフトとして人気なのが、季節ごとの絵柄が楽しめる瓦せんべい詰め合わせ「大江戸松﨑 暦」。米菓も合わせて楽しみたい方には、人気商品が一度に味わえる「大江戸松﨑 顔見世」もおすすめです。

また、季節イベントに合わせて販売されるクリスマスや干支デザインの三味胴セットも注目の品。ブック型の小箱に入っているため持ち運びもしやすく、プチギフトとして好評です。

2026年春、本店は新たな木挽町の地へ

クリスマス三味胴(4枚入)
972円(税込)
銀座 松﨑煎餅 全店舗にて数量限定販売中

同店では産地に縛られず「味の良い素材」を選ぶ方針をとっています。しかし、最も重要なのは職人の感覚です。同じ味・同じ焼き加減を再現するために、毎朝の試し焼きを欠かさず続けています。機械化が難しい厚焼き瓦せんべいでは、今もなお手仕事の技が欠かせません。

2026年春、MATSUZAKI SHOTENは同じ木挽町通り沿いの 銀座3-14-15 へ移転します。現本店での経験を活かし、ポップアップやイベントを行いやすい環境づくりを目指しているとのこと。八代目は「銀座のサードプレイス」をテーマに、伝統と現代の感性を融合した空間を目指すと語ります。

新たな地での開店は、老舗が次の200年に向けて踏み出す大きな一歩になりそうです。

新店で挑むイベントと、訪れる人へのメッセージ

新店舗では、従来の美味しさを大切にしながら、新たなお客様とのつながりを生み出すイベントを積極的に行う予定とのこと。「東銀座・木挽町にお越しの際には、ぜひ足をお運びください」と語り、さらに「看板犬のあられにも会いに来てください!」と語ってくださいました。

最後に、同店が大切にしている想いを改めて聞くと、

美味しいものを丁寧に作ること
材料を無駄にしないこと
お客様一人ひとりに真心を込めて商いをすること

このシンプルで誠実な姿勢こそが、200年続く松﨑煎餅の本質なのだと感じさせられます。

歴史を守りながら、新しい挑戦にも意欲的なMATSUZAKI SHOTEN。これからも銀座の地で、多くの人に温かな驚きと美味しさを届け続けていくことでしょう。

施設名MATSUZAKI SHOTEN(銀座 松﨑煎餅 本店)
公式サイトhttp://matsuzaki-senbei.com
住所東京都中央区銀座4-13-8岩藤ビル1階 ※2026年春近隣へ移転予定
営業時間10:00~19:00(LO 18:30)
定休日元日

銀座で受け継がれる“心を込めて手を抜かない”味──MATSUZAKI SHOTENがつないできた200年の歴史と、新たな挑戦