廃棄されるはずだった野菜が、色鮮やかな絵の具へと生まれ変わる——そんなユニークな取り組みを行っているのが、合同会社ラピスプライベートです。
規格外という理由だけで市場に出回らない野菜に新たな価値を見出し、プロダクトや体験へと昇華させる同社の活動は、環境や食の課題に新しい視点をもたらしています。さらに、ワークショップを通じて、楽しみながら学びへとつながる体験を提供している点も特徴です。
本記事では、「べじからふる絵の具」の誕生背景から制作工程、体験の魅力、そして今後の展望までをご紹介していきます。
身近な価値を見直す発想から生まれた企業理念

合同会社ラピスプライベートは、身近にあるものの価値を改めて見つめ直し、新しい可能性を生み出すことを目的に設立されました。
同社の代表的な取り組みの一つが、廃棄されてしまう野菜を原料とした「べじからふる絵の具」です。環境や社会課題に向き合いながら、楽しさや創造性を引き出す商品開発を行っている点が特徴です。
同社が大切にしている考え方は、「へんてこりんでもええやん」。既存の価値観にとらわれず、個性や違いを受け入れる柔軟な発想を原動力に、新しい価値創造へとつなげています。
社名の「ラピス」は、宝石のラピスラズリに由来しています。深い青色は地球を想起させる色でもあり、自然や環境への意識を象徴する存在です。また、代表の名前に含まれる「瑠」という文字も瑠璃色を意味しており、個人の想いと地球へのまなざしが重なり合う形で、この名称が生まれました。
廃棄される野菜に新たな価値を見出した原体験
「へんてこりん野菜」とは、形が曲がっていたり、大きさが不揃いであったりといった見た目の理由から、市場に出回らず廃棄されてしまう野菜です。味や品質に問題がないにもかかわらず、規格に合わないという理由だけで処分されてしまうケースは少なくありません。
こうした課題に向き合うきっかけとなったのは、代表の原体験にあります。実家が農家であることから、コロナ禍の影響で出荷できず、やむを得ず廃棄される野菜の存在を目の当たりにしました。その光景を見て、「形が少し違うだけで捨てられてしまうのはもったいない」という想いが芽生えたといいます。
「へんてこりんでもええやん」という発想から生まれたプロダクト

そこで生まれたのが、「へんてこりんでもええやん」という柔軟な発想です。規格にとらわれず、それぞれの個性を価値として捉える視点から、新たなものづくりの可能性を模索しました。
野菜には本来、それぞれ固有の美しい色があります。その色をそのまま活かすことができれば、環境問題への気づきにつながるだけでなく、子どもたちの創造力を刺激する体験にもなるのではないかと考えたのです。
こうした着想から誕生したのが、廃棄野菜を原料とした「べじからふる絵の具」です。野菜の色そのものを活かしたこのプロダクトは、廃棄されるはずだった素材に新たな価値を与えながら、楽しさと学びを同時に届ける存在となっています。
廃棄野菜の色を活かしたシンプルで奥深い製造工程
「べじからふる絵の具」は、廃棄されてしまう野菜を原料とし、その色素や特徴を活かして作られています。工程自体はシンプルでありながら、自然素材ならではの工夫が詰まっています。
まず、規格外などの理由で市場に出回らず廃棄される野菜を回収し、それらを乾燥させます。この際、野菜本来の色や香りが残る状態を保ちながら加工を行うことが重要です。乾燥させた野菜は、その後細かく粉末化され、絵の具のもととなる「色の粉」へと変わります。
実際に使用する際には、この粉末にアラビアガムなどを加えて溶かすことで、絵の具として使える状態になります。粉から絵の具へと変化する工程も体験の一部となっており、楽しみながら素材の特性を感じられる点が特徴です。
自然素材ならではの難しさと、野菜の個性が生む発見

自然素材ならではの難しさと、色の個性が生む発見
「べじからふる絵の具」の開発において、特に苦労した点として挙げられるのが、野菜ごとに異なる色の出方です。自然素材である野菜は、収穫時期や状態によって色味が微妙に変化します。そのため、安定して使える色として仕上げるまでには、幾度もの試行錯誤が重ねられてきました。
一方で、その不確かさこそが面白さでもあります。野菜それぞれが持つ色の個性は豊かで、素材そのものが絵の具へと変わる過程には、多くの発見がありました。
また、この絵の具を使う子どもたちが「この色は何からできているのか」と想像しながら楽しむ姿も印象的だったそうです。
定番の色としては、ビーツの赤、バタフライピーの青、かぼちゃの黄色などがあり、特に赤と青は人気の高いカラーです。さらに、使用する野菜によって色味が変化するため、季節ごとに異なる限定色が生まれるのも特徴です。紫いもから生まれるやさしい紫色など、その時期ならではの自然の色を楽しめる点も、多くの人を惹きつける魅力となっています。
絵の具づくりから始まる、五感で楽しむワークショップ体験

「べじからふる絵の具」を使ったワークショップでは、廃棄野菜から生まれた素材に触れながら、絵を描くまでの一連の工程を体験できます。特徴的なのは、完成された絵の具を使うのではなく、自分自身で“つくる”ところから始まる点です。
まずは、野菜からできた色の粉にアラビアガムを加え、絵の具へと変化させていきます。粉が少しずつ溶け、色が広がっていく様子は、まるで実験のような感覚を伴い、子どもたちにもおすすめです。
絵の具が完成したあとは、それぞれが自由に表現を楽しむ時間です。色をそのまま使うだけでなく、混ぜ合わせて新しい色を生み出すこともできるため、創造の幅が自然と広がっていくでしょう。「この色はどんな野菜からできているのか」と考えながら手を動かす時間も楽しいひと時です。
より身近に広がるための新たな挑戦
今後は、「べじからふる絵の具」をさらに多くの人に届けるため、チューブタイプの開発にも取り組んでいく予定です。現在の粉末タイプは、絵の具をつくる工程そのものが体験価値となっていますが、より手軽に扱える形へと進化させることで、家庭や教育現場での活用の幅を広げていく考えです。
さらに、ワークショップや体験イベントの展開も強化していく方針です。子どもたちが楽しみながら環境や食の大切さに触れられる機会を増やし、「へんてこりん野菜」に新たな価値があることを、より多くの人へ伝えていくことを目指しています。
「へんてこりんでもええやん」が広げる未来

同社が一貫して大切にしているのは、「へんてこりんでもええやん」という考え方です。形が少し違うというだけで価値を見失ってしまうのではなく、その違いに目を向け、新しい可能性として捉える姿勢が、すべての取り組みの根底にあります。
「べじからふる絵の具」を通じて、絵を描く楽しさにとどまらず、食べ物や自然、環境について考えるきっかけが生まれること。それこそが同社の目指す価値です。
身近なものに新たな視点を加えることで、まだ気づかれていない魅力が見えてくる。ぜひ「べじからふる絵の具」で野菜の可能性を見つけてみてはいかがでしょうか。
| 会社名 | 合同会社ラピスプライベート |
| 公式サイトURL | https://www.lapizprivate.com/ |
| 住所 | 〒616-8223 京都市右京区常磐西町4 |
| 営業時間 | 9:00-18:00 |
| 定休日 | 無し |


