奈良県橿原市にある「歴史に憩う橿原市博物館」は、訪れる人々に歴史の奥深さと人とのつながりを感じさせてくれる、まさに“憩いの場”。古代から江戸時代まで橿原に根付いた文化と歴史を体験的に学べるこの博物館は、隣接する新沢千塚古墳群との連携も含めて、観光客が訪れるスポットとなっています。
今回は「歴史に憩う橿原市博物館」の魅力をお伺いしました。
古代から現代へ。リニューアルの背景と想い
「当館は昭和53年に開館した橿原市千塚資料館を前身とし、平成26年4月に『歴史に憩う橿原市博物館』としてリニューアルオープンしました」と語ってくださったのは、博物館のご担当者。縄文時代の終わり頃から江戸時代まで、実に二千数百年にわたる歴史を学べる博物館として、地域に根差した展示を行ってきたといいます。
名称の“歴史に憩う”には、特別な意味が込められているそうです。
館名は、奈良県立橿原考古学研究所長を務められていた(故)菅谷文則氏に名付けていただいたといいます。
「『人と人のつながりの真ん中に歴史があり、歴史を体感できる博物館として、市民のサロンのような存在でありたい』という想いが込められています。」と語っていただきました。
来館者の“今”に寄り添う演出も
館内にはガイダンスホールというユニークなコーナーがあります。
「来館された方の氏名と生年月日をモニターに入力いただくと、その月の運勢とともに、個々に合わせたおすすめ展示品が紹介される仕組みです。」
というように、リピーターの方でも楽しめる工夫がされているのも魅力の一つです。
展覧会や体験型学習で地域とつながる
「年間を通して、特別展、企画展、博学連携企画展の3本を軸に展覧会を開催しています。常設展示では見られない資料や、他館から借り受けた貴重な遺物なども展示しており、橿原市の知られざる歴史や文化財について、より深く学べる内容です。」
また、世代を問わず参加できる教育プログラムにも注力しているのも当館の特徴だと言います。
「地元の公立高校と連携した博学連携企画展では、高校生が研究テーマを決めて展示を企画します。彼らの独自の視点は、新鮮な驚きを与えてくれます。さらに、土器の接合体験やカラー拓本づくりなど、親子で楽しめる体験学習も好評です。」
なお、大人向けには「グランドメルキュール奈良橿原」とのコラボによる“プレミアム体験”プランもあるとのこと。滞在型の旅の中に、学びの時間を取り入れることができます。
古墳公園で過ごす、もうひとつの時間
博物館の目の前には、「新沢千塚古墳群公園」が広がっています。この一帯は、古墳時代中期の有力者の墓とされる約400基の古墳が点在する史跡で、国の史跡にも指定されています。
「この公園は、歴史を感じながらも、健康や癒し、交流を楽しめる空間として整備されています。プールやジムを備えた『シルクの杜』、農産物直売所『新沢千塚ふれあいの里』、そしてガイダンス機能を備えたカフェ『OTENKIテラス』など、ゆっくり過ごせる施設がそろっています。」
さらに、公園内には龍の広場(噴水と遊具)、桜の広場、カキツバタの咲く棚田の広場など、四季を感じながら歩けるスポットも充実。観光目的だけでなく、地元の方の散策・憩いの場としても活用されています。
令和7年度の注目展「駅近遺跡」にも注目
2025年(令和7年)7月19日から10月5日まで、企画展『八木駅ちかくの考古学~改札出ればそこは遺跡~』を開催しています。駅周辺で行われた発掘調査の成果をもとに、日常と遺跡が隣り合う橿原市ならではの魅力を伝えたいと考えているようです。
訪れるたびに新しい発見がある展示構成は、観光客にとってもリピーターのきっかけになることでしょう。
観光と学びが融合する、特別な体験を
最後に、博物館を訪れる方々へのメッセージを伺いました。
「当館では、展示品に触れることができるコーナーもあり、石器や土器など、歴史の“本物”を肌で感じていただけます。博物館の見学だけでなく、古墳公園や周辺施設とあわせて、一日ゆっくり楽しんでいただける場所です。ぜひ、皆さまのお越しをお待ちしています。」
「歴史に憩う橿原市博物館」は観光だけでなく、学び、癒し、体験が融合した“時間を過ごす”博物館です。奈良や橿原を訪れる際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
施設名 | 歴史に憩う橿原市博物館 |
公式サイトURL | https://www.city.kashihara.nara.jp/soshiki/1059/index.html |
住所 | 奈良県橿原市川西町858-1 |
営業時間 | 午前9時~午後5時(入館受付は午後4時30分まで) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)及び12月27日~1月4日 |