中国でクレジットカードを利用する際は、利便性と不便さの両面を理解しておくことが大切です。大都市のホテルや空港、大型商業施設ではVisaやMastercard、JCBなど国際ブランドが使える場面が多く、現金を多く持ち歩かなくても安心して買い物や宿泊ができます。

一方で、地方都市や個人経営の飲食店、市場などでは利用できないことも多く、日常生活の多くはAlipayやWeChat PayといったQRコード決済が主流です。そのため、クレジットカードは大きな支払いで役立つ一方、日常の小額決済には別の手段が必要になる場合があります。

本記事では、中国でクレジットカードがどこで使えるか、利用できる種類や安全に使うためのポイントを詳しく解説します。

中国でクレジットカードは使える？キャッシュレス事情について

中国でもクレジットカードは利用できます。しかし、使える場所は偏っており、都市部や国際ブランド対応店が中心です。ここからは普及率や利用可能な決済方法を紹介します。

中国のクレジットカード普及率

中国は世界有数のキャッシュレス社会で、都市部では買い物や交通・屋台までスマホ決済が主流となり、現地の人々がクレジットカードを使う機会はほとんどありません。

一方、観光客が訪れる大都市や観光地の環境は異なり、空港や国際的なホテル、大型ショッピングモール、高級レストランなどではVisaやMastercard・JCBなどの国際ブランドに対応していおり旅行者にとって利便性が高いです。ただし、地方の歴史的観光地や小規模店舗ではクレジットカードが利用できないことも多く、現金やQRコード決済の準備が必須になります。

中国で使えるキャッシュレス決済一覧

中国はキャッシュレス化が進んでおり、都市部ではスマホ決済が生活の中心になっています。クレジットカードだけでは対応できない場面もあるため、旅行者は複数の支払い方法を把握しておくと安心です。

• Alipay（アリペイ）
  中国最大級のQRコード決済。観光地や飲食店、タクシーまで幅広く利用可能。
• WeChat Pay（ウィーチャットペイ）
  SNSアプリWeChatに搭載された決済機能で、現地人の日常決済に必須。
• 銀聯カード（UnionPay）
  中国で圧倒的シェアを誇るクレジットカードブランド。都市部のホテルや大型店で利用可。
• 国際ブランドのクレカ（Visa/Mastercard/JCB）
  大都市のホテルや空港、外資系店舗などで利用できるが、地方では限定的。
• 交通ICカード（北京市の「一卡通」、上海の「交通卡」など）
  地下鉄やバスで使えるプリペイド式。観光客用にも販売されており便利。
• タッチ決済（NFC）
  VisaタッチやMastercardコンタクトレスが一部店舗で対応。外国人旅行者が使いやすい方式。

このように、中国ではシーンに応じて最適な決済手段が異なります。旅行者はクレジットカードとQRコード決済、さらに交通カードを組み合わせることで、よりスムーズで快適な滞在ができるでしょう。

中国で使える国際ブランド

中国ではVisaやMastercard、JCBなど主要な国際ブランドのクレジットカードが使えます。ただし、日本のようにどこでも利用できるわけではなく、使える場所は都市部のホテル、空港、国際的なショッピングモールや外資系レストランなどに限られてしまいます。

一方、中国国内で圧倒的なシェアを誇るのは「銀聯（UnionPay）」で、地方都市や中小規模の店舗では銀聯しか対応していないケースも少なくありません。そのため、中国旅行ではVisaやMastercardを1枚持ちつつ、銀聯ブランド対応のカードを併用すると安心です。

中国滞在では、ブランドを1枚に絞らず複数用意しておくことで支払いがスムーズになります。

事前にAlipayのダウンロード&クレジットカード持参がおすすめ

中国滞在でのクレジットカード利用で困りたくない方は、事前にAlipay（アリペイ）をダウンロードし、クレジットカードを持参するのがおすすめです。

Alipayは、中国を拠点としている『アリババグループ』が提供しているオンライン決済サービスで、現地の飲食店や小売店、ホテル、公共交通機関などで専用のQRコードを提示すれば決済できます。

クレジットカードとの紐づけもすることができ、簡単な操作でチャージが可能です。また送金や割り勘なども機能も備わっており、グループのまとめ払いの清算にも困りません。

ただし、現地ではQRコードを利用した詐欺被害があるため注意が必要！不正利用される恐れもあるため、不用意にコードを読み取ったり、支払い時にパスコードを設定したりするなどして対策しましょう。

万が一のために備えて、クレジットカードを携帯するのもおすすめです。

Alipayの登録方法

Alipayの登録方法は、簡単です。アプリをダウンロードし、以下の3つの手続きを行えば、Alipayが利用できます。

1. アカウント作成（電話番号の登録、SMS認証）
2. 本人確認（パスポートの登録、顔認証）
3. クレジットカードの連携（※一部カードが弾かれる可能性があり注意が必要）

中国で使えるおすすめのクレジットカード5選【銀聯あり】

中国を訪れる際に便利なクレジットカードには、日本で発行できて現地でも安心して使えるものがあります。ここではおすすめの5種類を取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。

三井住友カード（NL）

三井住友カード（NL）は、年会費永年無料で利用でき、オンライン申込後、最短10秒でカード番号を発行できる「即時発行」に対応している点が大きな魅力です。カードはナンバーレス（番号が印字されていない仕様）で、セキュリティ性も高く設計されています。

付帯サービスとして、カード利用でポイント（Vポイント／旧Tポイント）が貯まり、対象コンビニ・飲食店でスマホのVisaタッチ決済やMastercardタッチ決済を使えば、支払額200円につき7％還元も可能。

さらに、不正利用監視システムや「会員保障制度（紛失・盗難届出から最大60日前まで補償）」も整備されており、国内外を問わず使えます。

三井住友銀聯カード

三井住友銀聯カードは、中国本土を中心に世界各国で広く利用されている「銀聯」ブランドを採用しているため、中国滞在時に特に使いやすい一枚です。

中国国内のレストランやショッピングモールやホテル、交通機関まで幅広く対応しており、都市部だけでなく地方都市でも利用できるケースが多いのが特徴です。日本国内の銀聯対応店は年々拡大しており、渡航前の準備や帰国後のショッピングにも活用できます。

さらに、不正利用時の補償やセキュリティ体制も整備されているので、安心して利用可能です。VisaやMastercard非対応の場所でも銀聯なら利用できるケースもあり、中国で生活や旅行を予定する方に適した一枚です。

TOKYU CARD

TOKYU CARDは、東急グループを日常的に利用する人におすすめのクレジットカードです。PASMOオートチャージに対応し、日本国内での移動や買い物でも便利に活用できます。

国際ブランドはVisaとMastercardが選択可能で、中国でも主要都市のホテルや商業施設で利用可能です。利用額に応じて「TOKYU POINT」が貯まり、百貨店やスーパーなどではポイント付与率がアップする特典もあります。

さらに交通系ICと一体化して使えるため、カード1枚で支払いと移動の両方をカバー可能。中国滞在中も加盟店でスムーズに決済でき、日本と海外の両方で利便性を感じられるカードです。

エポスカード

エポスカードは、年会費が永年無料で使える利便性の高さが魅力のクレジットカードです。国際ブランドはVisaのみですが、世界中の加盟店で利用できるため、中国旅行や留学でも安心して決済が可能です。

特に大都市のホテルやレストラン、ショッピングモールなどではVisa対応率が高く、不便を感じる場面は少ないでしょう。利用額に応じて「エポスポイント」が貯まり、マルイや提携店舗での優待や割引にも活用できます。

また、カード提示だけで受けられる全国10,000以上の優待サービスも充実しており、旅行や日常生活で幅広く役立つのが特徴です。

さらに、Visaタッチ決済にも対応しているため、中国でもスムーズで安全なキャッシュレス決済を体験できます。

三菱UFJニコス

三菱UFJカードは、年会費が永年無料で利用できるスタンダードな一枚。国際ブランドはVisa・Mastercard・JCB・アメリカン・エキスプレスから選択でき、中国国内でも幅広い場面で使用可能です。

基本還元率は0.5％ですが、三菱UFJ銀行口座を支払先に設定し対象店舗やサービスを利用すれば、最大20％のポイント還元が受けられます。また、新規入会者には最大1万円相当のグローバルポイントがプレゼントされるキャンペーンもあり注目ポイントです。

中国のホテルや大型商業施設などで利用できるうえ、ポイントをキャッシュバックや商品交換に活用できるため、日常使いから海外利用まで便利なカードです。

中国でクレジットカードを使うメリット

クレジットカードは、中国旅行をより快適で安心にする大きな味方です。現金を持ち歩かずに安全に支払えるのはもちろん、海外旅行保険や補償サービスが付いている点も魅力です。ここでは、旅行者が知っておきたいメリットを4つに分けて解説します。

海外旅行保険が付帯している

中国でクレジットカードを利用する大きなメリットの一つに、海外旅行保険が自動的に付帯している点があります。通常、旅行保険に個別加入するとコストがかかりますが、クレジットカードに付帯する保険であれば無料で補償を受けられるのが魅力です。

補償内容には、ケガや病気の治療費・盗難被害・携行品の破損などが含まれる場合があり、思わぬトラブルにも対応できます。また、カードによっては家族も対象となるケースがあり、家族旅行でも便利です。

中国滞在中に万が一病院にかかる必要が生じた際も、現地での高額な医療費を補填できるため、旅行者にとって非常に心強いサポートとなるでしょう。

大量の現金や現地通貨を持ち歩かなくて済む

中国旅行でクレジットカードを持っていれば、現金を多額に持ち歩く必要がなく、盗難や紛失のリスクを大幅に減らせます。必要なときに必要な分だけ支払えるのは、カードならではの安心感です。

さらに両替の回数も減り、余計な手数料を抑えられるのもメリット。タッチ決済に対応した店舗では、カードをかざすだけでスムーズに決済できるため、観光中も快適に過ごせます。

盗難や紛失時の補償がある

現金を落とすと取り戻すのは難しいですが、クレジットカードなら不正利用補償によって被害額が戻る仕組みがあるのがポイント。多くのカード会社は、連絡を受ければ届出日から60日前まで遡って補償してくれるため、安心して利用できます。

スキミングによる不正利用も対象となり、現金よりも安全性は高いです。さらに、カードによっては現地で緊急再発行が可能で、滞在中の支払い手段を失わずに済みます。

銀聯は対象店舗も豊富で優待サービスが受けられることもある

中国で最も普及しているブランドが「銀聯（UnionPay）」。大都市のホテルやモールはもちろん、地方の小規模店舗でも利用できる場合が多いため、旅行者にとって欠かせない存在です。

日本で発行した銀聯カードも現地で問題なく使えることが多く、クレジットカードが使えない場面をカバーできます。加えて、提携先のレストランやショッピング施設で割引や特典を受けられる優待サービスも提供されており、お得に利用できる点も魅力です。

中国でクレジットカードを使うときの注意点・デメリット

中国でのクレジットカードの使用は、トラブルを避けるための注意も必要です。利用できない場所や手数料、情報漏えいのリスクを理解しておくと、旅行中の支払いがスムーズになります。

カード情報のスキミングのリスクに注意する

中国でクレジットカードを使う際に気を付けたいのが、カード情報のスキミング被害です。スキミングとは、専用の装置を使ってカードの磁気データを不正に読み取られ、複製カードを作られてしまう手口のことです。

観光地や人の出入りが多い店舗では、特に注意が必要です。対策としては、支払い時にカードを店員の手元から離さないこと、怪しいATMを利用しないことが挙げられます。

さらに、ナンバーレスカードやタッチ決済を利用することで、カード番号を見られるリスクを減らすことも可能です。利用後は明細をこまめにチェックし、不審な請求があればすぐにカード会社へ連絡することが被害を防ぐポイントとなります。

現金しか使えない場面にも備えておく

中国では都市部を中心にクレジットカードやQRコード決済が浸透していますが、どこでも使えるわけではありません。地方の観光地や屋台、個人経営の飲食店や市場では、現金払いしか受け付けないことも多くあります。

さらに、観光施設の入場料や交通ICカードのチャージなど、現金が必要になるケースもあり注意が必要です。旅行中はカードやスマホ決済とあわせて、一定の現地通貨を用意しておくことが望ましいでしょう。

高額を持ち歩く必要はありませんが、小額紙幣を分けて持っておけば旅行中に重宝します。キャッシュレスが主流の中国でも、現金は“最後の備え”として役立ちます。

海外手数料がかかることを把握しておく

中国でクレジットカードを利用する際には、海外利用手数料の発生にも注意しましょう。多くのカード会社では、現地通貨で決済すると利用金額に対して1.6％〜3.6％程度の手数料が加算されます。

頻繁にカード決済をすると知らないうちに出費が増える可能性があるため、旅行前に自分のカードの手数料率を確認しておくのがポイント。なかには手数料が安いカードやキャンペーンで優遇されるカードもあるため、事前に比較して選ぶのもおすすめです。

手数料を理解しておけば、予算管理もしやすくなり無駄な支出を抑えられます。

明細や利用可能枠は常にチェックする

中国でクレジットカードを安心して使うには、明細と利用可能枠をこまめに確認することがポイントです。旅行中は買い物や食事で出費が増えやすく、気づかないうちに限度額を超えてしまうこともあります。

さらに、不正利用を早く見つけるには定期的なチェックが効果的。カード会社のアプリやWEB明細を利用すれば、利用状況をその場で確認でき便利です。

キャッシュレスが主流の中国ではカード利用が増える傾向にあるため、普段から確認する習慣を身に着けましょう。

中国でクレジットカードが使える場所

中国でも、観光客が訪れる大都市や国際的な施設ではクレジットカードが広く利用できます。空港や高級ホテル・大型商業施設・外資系レストランなどは国際ブランドに対応しているため、旅行者にとって利便性が高いです。

特に外国人が集まるエリアではキャッシュレス環境が整っており、買い物や食事もスムーズに楽しめます。また、主要都市の観光スポットやビジネス街でもカード決済が普及しているため、出張にも観光にも役立ちます。

中国でクレジットカードが使えない場所

中国では主要都市以外のエリアでは、クレジットカードが使えない場面が多く見られます。地方都市や農村部では銀聯カード以外は受け入れられないケースが多く、VisaやMastercardは利用できないことがあります。

また、日常的な支払いの多くはQRコード決済が主流のため、外国人旅行者には不便に感じる場面。具体的には、個人経営の飲食店やローカル市場・屋台などではカードが使えず、現金が必要です。

さらに、バスや地下鉄などの公共交通機関もクレジットカード非対応のところが多いため、交通ICカードや現金を併用する準備が欠かせません。

中国のクレジットカードに関するよくある質問

中国でクレジットカードを使う際は、国際ブランドの対応状況や銀聯カードの作り方、トラブル時の対処法など、多くの疑問が寄せられます。ここからは旅行者や留学予定者が特に知っておきたいポイントをQ&A形式で紹介します。

中国でVisaやJCBは使えますか？

都市部の観光スポットや外資系施設ではVisaやJCBが使えますが、利用範囲は限定的です。中国全土で広く普及している銀聯カードと比べると、対応店舗は少ないのが現状です。そのため、中国滞在では国際ブランドと銀聯の両方を用意しておくと安心です。

銀聯カードを日本人が作る方法は？

銀聯カードは、日本国内の銀行やクレジットカード会社を通して発行できます。三井住友カードやセゾンカードなどが銀聯ブランドを扱っており、申し込みや審査は通常のカードと同様の流れです。日本で作っておけば、中国でも幅広く使えるため旅行や出張に役立ちます。

銀聯カードと普通のカードの違いは何ですか？

国際ブランドカードが「観光客向けの主要都市」で使えるのに対し、銀聯カードは「中国人の日常生活の隅々まで浸透しているカード」です。銀聯は地方の商店や交通機関でも利用できるため、現地で暮らすように過ごしたい人には必須といえます。普通のカードは利便性こそあるものの、利用範囲の広さでは銀聯に及びません。

中国でクレジットカードでトラブルに遭った場合、どうすればいいですか？

中国でカードの紛失や不正利用などのトラブルに見舞われた場合は、できるだけ早くカード会社の緊急連絡先へ連絡しましょう。不正利用補償の対象となるケースが多く、届出からさかのぼって一定期間は補償されます。また、現地でカードが使えなくなった場合には、緊急再発行サービスを利用できることもあります。

日本人が中国でAlipayを使うにはどうすればいいですか？

まずアプリをインストールし、日本の電話番号でアカウント登録。次にパスポート情報を登録して本人確認を完了させます。認証後、「銀行カード追加」からVisa・Mastercard・JCBなどの国際クレジットカードを紐づければ、QRコード決済が使えるようになります。

まとめ

本記事では中国のクレジットカード事情について分かりやすく紹介しました。中国ではクレジットカードも使えますが、日常の決済はAlipayやWeChat PayなどのQRコード決済が中心です。

都市部のホテルや空港、大型商業施設ではVisaやMastercard、銀聯カードが使える一方、地方や小規模店舗では現金やスマホ決済が必要になる場面もあります。

旅行の際は複数の手段を準備しておくことで、不便を感じずに滞在を楽しむことができます。中国旅行を計画している方は、事前に自分に合った決済方法を整えて安心して出発しましょう。