千葉県成田市、成田山新勝寺の門前町に本店を構える「なごみの米屋 總本店」。創業から百年以上の歴史を誇り、今や“成田詣で”に訪れる観光客にとって欠かせない和菓子店となっています。
羊羹をはじめとする伝統菓子から、千葉の名産・落花生をモチーフにしたユニークな「ぴーなっつ最中」まで、そのラインナップは多種多様。今回は、老舗の歩みと現在の挑戦について伺いました。
創業者の想いを受け継ぐ「和」の精神

米屋の歴史は、成田山新勝寺への参拝客に喜ばれる土産をつくろうと考えた創業者・諸岡長蔵と母・なつの試みから始まりました。なつは自宅にあった小豆と砂糖を用い、羊羹を試作。その味は参拝客から好評を得て、やがて米屋を代表する商品へと育っていきました。
創業者家族の創意工夫と努力が、米屋の羊羹を生み出しました。現在も私たちは『心和む味の創造』『おいしい暮らしの演出』『人と人、心と心を結ぶ』『豊かな未来を広げる』という4つの想いを大切にしています。それを『和未(なごみ)』という言葉に込め、事業を続けています。
羊羹は今もなお成田詣での定番土産であり、訪れる人々の心を和ませ続けています。
観光客を魅了する名物「ぴーなっつ最中」の誕生秘話

米屋のもう一つの看板商品が「ぴーなっつ最中」です。1996年、観光客向けの大型店舗「米屋観光センター」(現・なごみの米屋門前店)を開店した翌年に誕生しました。
千葉の名産である落花生の形をした最中を実演販売したところ大変好評で、本格販売に至ったとのこと。ローストピーナッツやピーナッツオイルを使い、香ばしさや口あたりを工夫。薄皮をイメージした色合いなど、何十回もの試作を重ねて完成した商品です。
1998年に正式発売された「ぴーなっつ最中」は、愛らしいキャラクター「ぴーちゃん」と共に多くの観光客に親しまれています。2023年には発売25周年を迎え、10月18日を「ぴーなっつ最中の日」と制定。今や千葉土産の代表格です。
体験を通じて広がる和菓子文化

商品だけでなく、体験を通じて和菓子の魅力を伝える取り組みも行われています。
現在では月2回、中学生以上を対象に和菓子教室を開催しています。職人が講師となり、季節に合わせた上生菓子や和生菓子を実際に作る楽しみ、そして食べる喜びを通じて和菓子を身近に感じてもらえる機会にしたいという想いから始まりました。
観光で訪れた人々が体験を通じて日本文化に触れられることは、訪問客の満足度をさらに高めていることでしょう。
季節商品と限定商品へのこだわり

さらになごみの米屋では、伝統を大切にしながらも常に時代のニーズに応える菓子づくりを心がけています。直近の限定商品として、2025年4月には「極上栗むし羊羹」を発売しました。
通常の栗むし羊羹の1.5倍の栗を使い、1本のうち半分以上を栗が占める贅沢な一品です。成田市産の栗を用いた地元ならではの商品で、多くのお客様から好評とのことです。
またオンラインショップも充実しているので、気に入った商品や試してみたい商品があれば気軽にどこからでも購入できることも嬉しいポイントです。
外国人観光客へ広がる挑戦
成田空港を抱える立地もあり、總本店には多くの外国人観光客が訪れます。
「日本や成田の味として和菓子を楽しんでいただけるよう、海外に向けた商品開発を目指しています。課題は輸出に伴う賞味期限や表示の問題ですが、和菓子文化を世界に広げる取り組みを進めていきたいです。」
と語ってくださったように、伝統と革新を兼ね備えた挑戦が、訪日観光客の増加にもつながっています。
成田参道で味わう「和」のひととき

成田山では正月・5月・9月を『正五九』といい、特に参拝のご利益が大きいとされています。新緑が美しい5月詣ではさまざまな行事も行わるので、訪問するのはこの時期が最もおすすめとのことです。
参拝の折にはぜひ總本店にもお立ち寄りいただき、『生栗むし羊羹』や『ぴーなっつ最中』『なごみるく』『塩豆大福』など多彩なお菓子を味わえますよ。
さらになごみの米屋總本店の裏には「羊羹資料館」と、成田山のご本尊が安置されていたことを記念し、成田不動尊御遷座之旧跡記碑がある「お不動様旧跡庭園」があります。ぜひご一緒に足を運んでみてくださいね。
- 【お不動様旧跡庭園】
https://nagomi-yoneya.co.jp/history/ofudousama/ - 【羊羹資料館】
https://nagomi-yoneya.co.jp/youkanshiryoukan/
伝統の上に革新を重ねる「なごみの米屋」

「羊羹の米屋」として親しまれてきた同店は、現在「なごみの米屋」としてさらなる発展を続けています。伝統を守りながらも、新しい挑戦を恐れずに進める姿勢は、多くの観光客に愛され続ける理由そのものです。
成田山参道を訪れた際には、参拝とともに「なごみの米屋 總本店」で和の味わいと心和むひとときを体験してみてはいかがでしょうか。
施設名 | なごみの米屋 總本店 |
公式サイト | https://nagomi-yoneya.co.jp/ |
住所 | 千葉県成田市上町500 |
営業時間 | 8:00〜18:00 ※年末年始は特別時間 |
定休日 | なし |